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2009年03月20日

インディアンフルートについて

北アメリカインディアンの笛

» インディアンフルートを吹いてみた

インディアンフルートは北アメリカインディアンに伝わる縦笛です。
人によっては「ネイティブ・アメリカン・フルート」と呼んだり、あるいはインディアンの若者が女性にプロポーズするとき歌を捧げるので「ラブフルート」とロマンチックに呼んだりします。

だれでもすぐに吹ける

インディアンフルートは笛のなかでも特にやさしい部類です。
とうぜんです。愛しい彼女が振りむいてくれるかどうか、この一曲にかかっているわけですから。はじめて手にとって吹いて、なんとなくさまになって聞こえるように。インディアンフルートはそんな切なる期待に何百年も応えてきました。

インディアンフルートには吹口のところに空気室という空間があります。これがエアクッションのように働いて息の乱れを(わずかですが)整えてくれます。つまり演奏者があまり上手でなくても、笛のほうできれいに鳴ってくれます。

インディアンフルートの音階はマイナー五音階(ラドレミソラド)です。これは適当に指を動かしても曲らしく聞こえるという便利な音階です。

笛を吹いたことがない人にこそ

インディアンフルートは笛を吹いたことがない人のための笛です。
はじめての人が適当に吹いてもそれらしく曲になって聞こえるように進化してきました。逆にふつうの楽譜に書かれたような曲の演奏はむつかしい。音域が1オクターブ+1音しかないので、そもそも音数の足りない曲が出てきます。

インディアンフルートは笛の初心者にお勧めです。楽譜にとらわれず自由に吹いて楽しみながら、指の動かし方や抑揚のつけかたなど、笛全般の基礎を身につけることができます。

2009年03月21日

いろいろなインディアンフルート その1

北アメリカにはたくさんのインディアンフルート工房があって、ほんとうにいろんなインディアンフルートが作られています。いくつかのインディアンフルートについて解説します。

竹のフルート、5穴

» 竹のインディアンフルートを吹いてみた

竹で作られたインディアンフルートです。
表面に焼きいれで装飾を施しています。インディアンフルートにはこのように美しく飾りたてたものが数多くあります。バードの形は…あまり意味はなさそうです。しっかりと本体にくくりつけてあって取りはずすことができません。

インディアンフルートの指穴は5つあるいは6つで、これは5つです。5つ穴の方が簡単です。下から順に指穴をあけていくだけでインディアンフルートの伝統的な音階―ラドレミソラド―を吹くことができます。間違いようがない。そのかわりふつうのドレミファソラシド曲を吹くのはむつかしいです。初心者向きだが応用が利かない、といったところでしょうか。

このフルートは素材のせいか管が細いためか、少しきつい音がします。製作はフロリダ州のエリック・ザ・フルートメーカ工房。フロリダ州はほとんど沖縄県と同緯度で、竹がジャングルになっています。このような地方では竹のインディアンフルートが作られます。そもそも木より竹のほうがだんぜん楽にフルートを作ることができます。

アカスギのフルート、6穴

» アカスギのインディアンフルートを吹いてみた

アカスギで作られたフルートです。
北部の乾燥した地域では竹の代わりに木が使われます。そもそもアメリカインディアン、というとアリゾナやコロラドの荒野を馬で駆けぬけるイメージがあるように、インディアンフルートも木製が主流です。

これはネイティブ・ラブフルート工房の製品。緑と水の豊かなヨセミテ国立公園に隣接する絶好のロケーションで製作されました。

機能に徹底したインダストリアルなデザインで、装飾は一切ありません。バードにターコイズ石を貼ってワンポイントにしている程度。かえってそのせいでアカスギの美しい木目がひきたちます。バードは本体にしばりつけているだけなので簡単に取りはずすことができます。メンテナンスに便利です。

このフルートの指穴は6つで、上から3番目の指穴を革ストラップでかくして5つ穴フルートとして使っています。上から3番目の指穴は半音穴です。ストラップをはずして6つ穴にするとドレミファソラシドが吹けるようになります。雰囲気の違う音階も吹けるようになります。
最初は5穴フルートで練習して、慣れてきたら6穴にしていろいろ遊ぶという使い方です。

メイプルのフルート、6穴

» メイプルのインディアンフルートを吹いてみた

メイプルで作られたフルートです。
先のアカスギのフルートもそうですが、このように木目の美しいところを選べばそれだけで装飾になります。3カ所にぐるっと輪っかとラピス粒の象嵌。木製のフルートはふつうこのくらい飾りたてます。彫刻やペイントや羽根かざりでもっとごたごたに飾りたてたフルートも見かけます。

青く染めたバードは知恵を象徴する大鴉(オオガラス)をかたどっています。このように鳥の形をしているのが”バード”という名の由来です。凝ったフルートになるともっとリアルな彫刻が付きます。彫刻のモチーフは鳥のほかにトカゲ、ヘビ、カメなど爬虫類からリス、オオカミ、クマなどいろいろあります。魚のサケ、クジラなんてのもあります。

試聴サンプルはストラップをはずし6穴フルートにして特殊な音階で演奏しました。この音階で吹くとなんだかヒロイック?な雰囲気になります。6穴フルートはこのような遊びもできます。
製作はアーストーン・フルート工房。

ドレミフルート、7穴

西洋音階のインディアンフルートです。指穴が7つもあります。
インディアンフルートはもともと西洋の音楽を演奏するように出来ていませんから、無理にふつうに曲を吹こうとすると要らぬ苦労をすることになります。ドレミフルートはふつうに曲を吹けるように、最初から音階がドレミファソラシドになっています。音域も若干広くなっています。

このドレミフルート(正式名称はダイアトニック・フルート)は、女性演家のメアリ・ヤングブラッドが好んで使用します。

いろいろなインディアンフルート その2

ドローンフルート

» ドローンフルートを吹いてみた

2本のインディアンフルートを1本に束ねたフルートです。
指穴のあるメロディー管と、それと指穴のない伴奏管がいつも同じ低音―ドローン―を鳴らします。吹くと2つの音が鳴って一人で合奏できます。これはスピリット・ウインズ工房の製品ですが、近年このタイプの改造フルートがあちこちで作られるようになりました。

伴奏管には指穴がなく単に吹いて鳴らすだけですから、演奏の難易度はふつうのインディアンフルートと変わりません。手軽に一人合奏ができると人気の高いフルートです。これに私は伴奏管にドリルで指穴を1つあけました。2種類の伴奏音を出すことができます。

ダブルフルート

» ダブルフルートを吹いてみた

ドローンフルートの伴奏管に指穴をあけました。
メロディー管の上3つの指穴を左手で押さえ、伴奏管の下3つの指穴を右手で押さえて演奏します。「あれ?低い音どうしはどうやったらハモるの?」と気づいたかもしれません。できません。実際、左右の音の組みあわせにはかなりの制約があります。その制約のなか、いかにも自由自在なように吹いてみせなければなりません。

逆に左右の運指の組みあわせにはパターンがあるので、演奏自体はそれほどむつかしくないです。「どう演奏するかを考える」のがたいへんなわけで。

工夫にくたびれたらコルク栓で伴奏管の指穴をふさぐと、ふつうのドローンフルートになります。

いろいろなインディアンフルート その3

インディアンフルートには、現在のフルートと起源の異なる古いフルートがあります。博物館に眠っていたそれらをコヨーテ・オールドマンがすこしずつ復元しています。

アナサジフルート

» アナサジフルートを吹いてみた

アリゾナ州の洞窟遺跡から出土した、1400年前の古代人が吹いていた笛です。同時期の壁画に描かれている笛吹き男―精霊ココペリ―の笛だとも言われています。

木管に6つの指穴を開けただけの原始的な笛です。尺八やケーナのように管の縁を吹いて鳴らします。この手の笛は音を出すのがむつかしく、アナサジフルートは大型低音なので更にむつかしい。音階はメジャー五音階(ドレミソラ…)で音域は1オクターブ半~2オクターブ。明るい雰囲気の音です。

ホピの笛

» ホピの笛を吹いてみた

北アメリカインディアンのホピ族の笛です。アナサジフルートから指穴が1つ退化して消失しました。すこし小型になったのでアナサジフルートよりは吹きやすい、と言ってもただの木管を吹いて鳴らすようなもので、初心者にはかなり敷居が高い。

先端にはまっているのはヒョウタンです。コヨーテ・オールドマンによるとこれが伝統的なデザインとのこと。これが拡声器なのか消音器なのか、今ひとつ不明です。かぽっと取りはずすことができて、取りはずしても違いがよくわかりません。単なる飾りかもしれません。

いろいろなインディアンフルート その4

イーグル・ボーン・ホイッスル

その他にも北米インディアンはたくさんの笛を持っています。
これはイーグル・ボーン・ホイッスルという、鷲の骨で作った笛です。鳥が鳴くような澄んだ高い音色です。インディアンたちはこの笛を、狩猟や祭事の合図に用いました。

» イーグル・ボーン・ホイッスルを吹いてみた

因みにこれは陶器で作ったレプリカです。
本物はきっと白頭鷲などの翼の骨で作るのでしょうが。レッドデータアニマルなので殺してはだめです。

伝説と歴史

インディアンフルートの起源がいつなのかは、はっきりと言えません。
伝説ではインディアンフルートは、好きな娘に結婚を言いだせない内気なインディアンの若者のために、キツツキがプレゼントしたことになっています。若者がフルートを吹くとそれを聞いた森中の獣や鳥たちが集まり、最後に美しい娘がやってきて彼のそばに座ったのでした。


―これが、インディアンフルートがラヴフルートと呼ばれる由縁です―
文化人類学的には、中央アメリカのマヤ、アステカから伝わった竹笛が起源ではないかと憶されています。

インディアンフルートによるプロポーズは広く行われていたようです。
カイオワ族の若者は夜、意中の娘の眠っているテントのそばでフルートを吹きました。娘が起きてきて「笛の音が聞こえたので」と言ってくれたらおめでとう、一晩中知らないふりをされたら脈なしという決め事でした。

インディアンフルートの歴史はインディアンの迫害の歴史そのものです。
一時期は絶滅寸前になりましたが、1970年代にインディアンの有志たちが村々をまわり、長老たちから古い歌やフルートの曲を学んで世に広めていきました。1980年代中頃からインディアンの文化や生き方が見直されるにつれ、インディアンフルートもまた脚光を浴びるようになりました。
今日では世界中の人々から愛されています。

やわらかな音で吹く

インディアンフルートの音がなんだか一本調子な感じがする。カタい。電子ピアノの『フルート』の音みたい。機械的で生き生きした音に聞こえない。なんで?

―笛はそう聞こえるように吹く―
これがおそらく初歩であり最終奥義です。(プロの友人も似たことを言っていましたから。)笛を強く吹くと大きな音がします。そっと吹くと小さな音がします。息を強くしたり弱くしたりすると、それにつれて音も大きくなったり小さくなったりします。笛にできることはこれだけです、これしかありません。「やわらかい音に聞こえる」「生き生きした音に聞こえる」というのはとどのつまり「やわらかい音に聞こえるようにわざと吹いている」「生き生きした音に聞こえるようにわざと吹いている」という、身もフタもないタネあかしです。

インディアンフルートをいきなりを吹きはじめていきなり吹きおわると、「いきなり吹きはじめていきなり吹きおわったような音」になります。注意しながらふぅう…と吹きはじめてすぅー…と息を小さくしていくと、音もすぅー…と小さくなって消えていきます。試しに最初にプーッと吹いて、次に注意しながら吹いてみました。
» プーッと吹いたり、フウウゥゥ…と吹いたり

波形を表示してみると違いがはっきりわかります。プーッと吹いた音は形からしてレンガのようで堅そうです。

音の終わりだけでも、すぅー…と息の強さをコントロールするようにするとぜんぜん違います。特に長くのばす音は細心の注意で音をしぼって消すときれいに聞こえます。

逆に「カタい音に聞こえるように」わざとプーッと吹くのものありです。うまく決まると無表情な孤高の雰囲気になります。

音のまんなかをふくらませる

人間はなにをするにも立ちあがりに時間がかかり最後はどうしても尻すぼみになります。インディアンフルートもそのように吹いてあげると人間の耳には自然に聞こえます。

たとえば走るとき「ターン!」とスタートしてもいきなりフルスピードは出ません。70%くらいの力で助走してそれからすぐに調子づいてフルスピードになります。でも最後までは続かない、息切れしてどうしても尻すぼみになります。人間の行動はなんでもたいていそんなです。70%くらいからはじめて、そこからすぐに100%に上げて、しばらく続くけれど次第に衰えていく。人間にかぎらず自然現象にはそんな動きをするものがたくさんあります。だから人間はそういうのが自然だふつうだ、まっすぐだと思っている。そこにいきなりプーッとMAXで吹きはじめてプツンと吹き終わるような音を聞かされると強い違和感を感じるわけです。

インディアンフルートの音も、最初は70%くらいの大きさから吹きはじめて、そこからよっこらしょと100%まで大きくして、あとは少しずつ小さくしていきます。わざとそのように吹いてやると、不思議にそれが自然にまっすぐに聞こえます。長くのばす音は特にそうです。

» 長くのばす音をだんだん大きく吹いてだんだん小さく吹く

いつもいつもそうしているとさすがにヘンですが、ぜひ試してみてください。

2009年03月22日

構え方 1

必ずしもみんな、ではないんですが。

インディアンフルートを構えるときに、高く――ほとんど水平になるほど高く――掲げるのをみかけます。この一風変わった構え方はいかにもインディアンフルートらしい雰囲気だなと思って。だから私も人前で演奏することを考慮して、インディアンフルートであることをアピールするために、最近はフルートをこのように構えることにしました。

でもなぜこんな構え方をするのでしょう?
フルートを高く掲げて吹いてもメリットがないというか、特に音色がよくなる風でもないし、だんだん腕がくたびれてきます。このように構えた方がカッコイイから?フルートは姿勢よく吹くべしという信条の問題?

構え方 2

人にもよりますが、インディアンフルートを構えるときは高く――ほとんど水平になるまで高く――構えます。なぜそんな構え方をするのかずっと疑問だったのですが。

「重くて滑るから。」

という答え?に最近たどり着きました。竹のフルートや現代の木のフルートは軽いのでピンとこないでしょうが。

昔、インディアンは石器でフルートをつくっていました。木の枝を管にするために、赤く焼いた細い枝を押しつけ、焦げたところをけずるという作業をくりかえしたそうです。そんなですからどうしてもフルートの肉厚は厚く、全体として重くなっただろうと想像します。

重いフルートを普通のリコーダーのように下にむけて構えると、演奏しているうちに滑って落としてしまいそうになります。だからインディアンはフルートを高く両手の親指でささえるように構えて吹くようになったのではないでしょうか。

実はうちにも一本、クルミの木でできた大きな重いフルートがあって、これがまた蜜蝋でていねいに仕上げてあったりして、演奏中にするする滑り落ちるのです。以前は滑り止めの輪ゴムをまいたり、演奏前にぬれタオルでフルートを湿らせたりしていました。
両手の親指でささえるように保持するようにしてからは、快適に演奏しています。

構え方 3

インディアンフルートの下の3つの指穴は右手で押さえます。が、大きなフルートの場合、水平になるくらい高く構えると右手がとどかなくなって指穴を押さえにくくなります。なので右手の指穴は、指を斜めにずらすように折りまげて押さえるとよいです。

一般的な話で、
指をふつうに折りまげると狭い間隔の指穴しか押さえることができません。広い間隔の指穴は、指を斜めにずらすように折りまげると押さえることができます。これはインディアンフルートにかぎらずどんな笛でも、「指穴の間隔が広すぎて押さえられないっ」というときに応用できるでしょう。

このとき親指の位置は人差指の反対側あたりにそえるのがよいようです。

構え方 4

インディアンフルートの上の2つの指穴は左手で押さえます。左手は右手に比べて体に近いので指穴を押さえやすいですが、むつかしいようであれば右手にならって指を斜めにずらすように折り曲げて押さえるとよいでしょう。

各部の名称

このサイトではインディアンフルートの各部についてつぎのように呼んでいます。

  • 吹口(ふきくち)…ここに唇をあてて息を吹きこみます。
  • 空気室(くうきしつ)…息の流れを整えるインディアンフルート独特のしくみ。
  • バード…これがないと鳴りません。なくさないように。
  • 歌口(うたくち)…ここに息があたって音が出ます。
  • 指穴(ゆびあな)…指でふさいだりあけたりして音の高さを変えます。
  • ストラップ…上から3番目の指穴をかくしています。初心者用。

バードについて

バードというのはインディアンフルートにくくりつけてある部品のことで、インディアンフルートのトレードマークだったりします。なぜ”バード”かというと、フルートによってはこれに見事な鳥や獣の彫刻がついているからです。とはいえそれはフルートの音にあまり関係ない、形はただのブロックでもよくて、だから”ブロック”と呼んだりもします。

インディアンフルートの歌口の手前には穴があいています。吹きこんだ息はぜんぶそこから漏れてしまいます。もちろんこのままでは音になりません。バードで息を押さえこんで歌口に導き、音を鳴らすしかけです。バードはちっぽけな部品ですが、音色に直結する精密部品です。傷つけたり無くしたりしないようにしてください。

ときどき位置調整を

なにかの拍子にバードがずれてしまうことがあります。あんまりずれると高音が出ない、低音が出ないなどの問題をおこします。ときどきバードを前後に動かして、いい感じに鳴る位置に合わせてください。

ストラップについて

ストラップは6穴インディアンフルートの上から3番目の指穴をしばってかくすものです。6穴フルートと5穴フルートのちがいはこの3番目の指穴があるかないかですから、かくしてしまえば6穴フルートは5穴フルートに早変わりします。

インディアンフルートは習うのにやさしい笛ですが、5穴フルートが特にかんたんです。このサイトでは基本的に5穴フルートの説明をします。6穴フルートを持っている人は上から3番目の指穴をストラップでかくしてください。

3番目の指穴の使い方は

6穴フルートの上から3番目の指穴は半音穴です。これを使うと西洋音階ドレミファソラシドや特殊な音階で演奏できるようになります。3番目の指穴の使い方は別枠にまとめて説明します。

鳴らし方

インディアンフルートを鳴らすのは簡単です。唇を軽くとじて、そしてフルートの吹口を唇にピタっとあてます。吹口と唇のすき間から空気がもれないことを確認したら、ふうーっと吹けば鳴ります。これだけ。
後は指穴をふさいでいけば音階になります。

  1. 最初は指穴を全部あけて吹いてみてください。
  2. 鳴るのを確認したら、上から一つずつ指穴をふさいでいきます。
  3. 途中で甲高いヘンな音がしたら、ぴったりふさがっていない指穴があります。
    指穴を全部あけて最初からやってみてください。

指穴を全部あけたときの音がラです。
一つずつ指穴をふさいでいくにつれ、ラソミレドラ、と音が下がっていきます。
» 上からラソミレドラ

あるいは息が強すぎるのかもしれません。低い音ほどそっと吹かないとヘンな音になります。熱いお茶をほーっと吹きさますような感じでしょうか。

大きな笛の構え方

笛の指穴はふつう指先(爪の裏側、指紋のある部分)で押さえます。
しかし大きな笛になると指穴を押さえることができない人も出てきます。どうしても大きな低音の笛を吹いてみたい、そんな場合はどうすればいいでしょうか。

指の関節と関節の間で押さえるのが定番

インディアンフルートにかぎらず一般的な話として、大きな笛を吹くときには写真のように指をまっすぐ伸ばして、指の関節と関節の間で指穴を押さえます。これは世界中の笛でそのようにします。ムリに指先で指穴を押さえるよりも本当はこちらの方がよいです。疲れないし速く動かせるし。

ためしに構えてみると、不自然な力が入らないので指は楽です。ぱたぱたと軽く動きますし。でもなんとも指の感触が気持ち悪い、もどかしい感じがします。どのくらいで違和感がなくなるでしょうか…

装飾音 1

覚えておいて絶対損しない技を一つだけ。
一番上の指穴を一瞬開けてふさぐ装飾音です。
» 一番上の指穴の装飾音

これはできるだけ素速くやるのがコツです。

例えば、高速道路を疾走する自動車の窓から頭を出して練習しているところをイメージしてください。一番上の指穴を押さえている左手人差指には万札がはさまっています。ゆっくり指穴を開け閉めすると万札は飛んでいってしまいますよ。万札を飛ばさないように、一瞬です。

演奏しているのを見ると、指穴を開け閉めしているというより、左手人差指が一瞬びくっとなるように見えます。

装飾音 2

インディアンフルートのCDを聴いていると強烈な装飾音を耳にすることがあります。これは、単に指穴をぱたぱたと開け閉めするだけではここまで強い装飾音になりません。
» ブライアン・アキパのFirst Flute Songから

強い装飾音は、指穴をぱたぱた開け閉めするのと同時に「ツツツツっ」と舌を動かして息をぶつ切りにして作りだします。指と舌の相乗効果で強い装飾音になります。
» 最初に指だけ、次に舌だけ、最後に指と舌で

※ 上のサンプルのブライアン・アキパは指と舌の装飾音に加えて、音が割れるほど息を強く吹きこんだり揺さぶるようなビブラートをかけたりして、野性的な激しい演奏になっています。
私は彼の演奏からいろいろ学びました。
» ブライアン・アキパのCDについて

装飾音 3

装飾音をどこで使えばいいのか?
いろいろなインディアンフルートの曲を聴いていると、総じて「こういうところで装飾音を使う」という傾向を感じます。荒っぽい説明をすると、音が下がるところで装飾音を使います。

下の楽譜を見てください。赤丸の付いた音に装飾音を使います。メロディーの流れに沿って音符が上がったり下がったりしていて、音符が下がっていくところに赤丸が付いています。

» 楽譜を見ながらインディアンフルートを吹いてみました

メロディーに装飾音が入るとがぜんインディアンフルートっぽくなりますが……赤丸の付いた音ぜんぶに装飾音を使うとさすがにやりすぎな気もします。

プロは実際にどんなふうに装飾音を入れるのでしょうか。お手持ちのCDをなんども聴いてマネする、というのはぜひお勧めの方法です。
私はそうやって学んだことを、こうしていろいろ書いているわけですし。

装飾音 4

装飾音をどこで使えばいいのか?
メロディーの音が下がるところに装飾音を入れると説明しましたが、それと音を長くのばすとき途中に装飾音を入れます。「なんだか間が持たないなー」みたいな感じに不規則に装飾音を入れます。これはよく使います。下の楽譜の赤線のところが音を長くのばすところで入れる装飾音です。

» 楽譜を見ながら吹いてみました

実際、装飾音もビブラートもなしに音をまっすぐのばすのはかなり難しいです。最初は装飾音やビブラートを入れて吹いた方が、かんたんに上手っぽく吹けて楽しいと思います。

楽しく吹いているうち「ここの音はすぅーっとまっすぐにのばしたいな」と切実に思えてきたら、そこで練習すればいいと思います。

装飾音 5

今まで一番上の指穴を使った装飾音について説明してきました。
ここでは音の最後に入れる装飾音を説明します。
ぴぃーーーーョッという感じに、音の最後を跳ねあげます。
» 音の最後に入れる装飾音

音の最後に入れる装飾音はこんなふうにします。

  1. 音の最後で舌を前歯にピタっと押しあててぴぃーーーーッと音を止める
  2. そのタイミングに合わせてぜんぶの指をぱっと開く

これはインディアンフルートに特徴的な装飾音です。入れるとがぜんインディアンフルートっぽく聞こえますから、積極的に使っていきたい。最初はやりすぎるくらいやるのがいいです。

反射的にできるようになってから「メロディーのどこで使うと効果的だろう?」なんて上等なことを考えるといいです。

ビブラート

ビブラートというのは、笛の音をぴぃー~~~~ときれいにゆらすアレです。インディアンフルートでビブラートをすると装飾音と相まって、なんとも泣ける音になります。

とりあえず、インディアンフルートをぴぃーと吹きながらふふふと笑うとビブラートがかかります。いろいろやってみましょう。深くかけたり浅くかけたり、速くしたり、ゆっくりしたり。最初はビブラートをかけずにまっすぐ音を出して、途中からビブラートをかけるなんてことをよくやります。

» いろいろビブラートをやってみる

最初は腹筋が気持ち悪いですが慣れの問題です。そのうち勝手にビブラートがかかる体質になります。

ビブラートのほうがかんたん

実は、ビブラートをかけずにまっすぐ音をのばす方がはるかに難しいです。手っ取り早く上手っぽく吹けるようになりたい人にこそ、ビブラートをお勧めします。

インディアンフルート・ミュージックの分類

インディアンフルート・ミュージックにはいろんな雰囲気の曲があります。それらを大まかに分類してみました。

伝統的か西洋風か

インディアンフルートの伝統的な吹き方は、装飾音やビブラートを多用するアクの強い吹き方です。動物や鳥の鳴き声を真似したり、その場のフィーリングで即興演奏することもあります。メロディーがあっても西洋のコード進行に従わない耳なれないメロディーだったりします。

西洋風の吹き方というのは、西洋の笛―リコーダーやコンサートフルート―の影響を受けた吹き方です。装飾音やビブラートがひかえめで、インディアンフルート本来の音色の美しさを大切にします。メロディーは聴きやすいポップだったりイージーリスニングだったりします。あまりに美しすぎて、ぱっと聴いてインディアンフルートだと分からないこともあります。

無表情か感情オーバーか

無表情な吹き方というのは、演奏者の感情が感じられない雰囲気の吹き方です。音の抑揚のない固い音色で、一本調子に聞こえます。逆にそれが超然とした雰囲気だったりします。

感情オーバーな吹き方というのは、演奏者が笛を吹きながら叫んだり泣いたりしているように聞こえます。音がわあっ大きくなったかと思うとしゅんとしぼんだり、過剰なほどビブラートや装飾音をかけたりします。

伝統的 vs 西洋風、無表情 vs 感情オーバー、という2つの軸でマトリクスを作ってみました。試しに私が持っているCDをマトリクスの上に配置すると次のようになります。

ブライアン・アキパ
伝統的で感情オーバーの見本です。叫ぶような演奏に強烈な装飾音とビブラート。メロディーは難解で一回聴いただけでは何をやっているのかさえ分かりません
ワーナー・ジョーン
西洋風な演奏の典型、感情表現はふつうでしょうか。リコーダーを思わせる気品ある音色と印象的なメロディー。ピアノで伴奏したりて、室内管弦楽みたいです。
ファイヤークロウ
どちからというと伝統的な演奏でしょうか。無表情な演奏です。固い音色とシャープな装飾音。超然としていてかっこいい。
ネイティブ・フルート・アンサンブル
どちらかというと西洋的な演奏でしょうか。無表情な演奏です。血の暖かさを感じさせない無機質な音色は不思議な伴奏と相まって、彼ら独特の持ち味になっています。

伝統的 vs 西洋風、無表情 vs 感情オーバー。
このほかにどんな捉え方があるでしょうか。「どの捉え方がいちばん正しい」ということではなくて、なんでもいいからなにか視点を持って聴くのが大切なのだと思ってます。

「この曲はなぜこんなにかっこいいんだろう、ひょっとしてこれが秘密っ?」と没頭して聴いて、ずいぶん勉強になりました。

音をつなげて吹く、区切って吹く

インディアンフルートを「ぷーーー」と吹きながら指を動かすと音がずるずるつながって聞こえます。息を「ぷ、ぷ、ぷー」と切りながら指を動かすと今度は一つ一つの音がくっきり分かれて聞こえます。

音をつなげて吹く、音を区切って吹く。どちらか一方だけでは大したことないのですが、この二つの吹き方をまぜると―メロディーのある部分はつなげてある部分は区切って吹く―と、いつもの曲がとたんに生き生き聞こえてきます。メロディーのどこをつなげてどこを区切るか、やり方によって曲のニュアンスがどんどん変わります。
» 同じメロディーをいろいろつなげたり区切ったりして吹いてみた

どこをつなげてどこを区切ればカッコイイいいのか?
それこそ演奏者の個性の問題で、ただ一つの正解といったものはないのでしょう。いつもとちがう吹き方で吹いてみるなど、いろいろやってみるとなにか発見があるかもしれません。
お手持ちのCDも大いに参考なるはずです。

いろいろな音の区切り方

音の区切り方にはいろいろあります。音の区切り方によってインディアンフルートの音の雰囲気がかなり変わってきます。
音の区切り方には大きく3とおりあります。

フーッと吹く

「ふっ、ふっ、ふーっ」です。唇と舌は動かしません。肺の中の空気をそのままふーっと吹きだします。立ちあがりのはっきりしないぼんやりした音になります。一番やわらかい音になります。速いフレーズは吹けません。

プーッと吹く

「ぷ、ぷ、ぷーっ」です。舌は動かしません。唇で息を区切ります。やわらかいですが輪郭のはっきりした音になります。そこそこ速いフレーズも吹けます。

ルーッと吹く

「るるるる、るーっ」です。唇は開けたまま。ふーっと息を吹きながら舌で「ふるるるる」と息を区切ります。立ち上がりのはっきりした硬い音になります。非常に速いフレーズを吹くことができます。

» 最初にフフフ、次にプププ、最後にルルルで吹く

2つの演奏スタイル

一番やわらかな「フーッ」は音が遅いので、これで曲を吹くことは難しいです。だから「プププ」か「ルルル」を主に使って吹くことになります。

「プププ」を主に使うスタイル
ぜんたい的におっとりした雰囲気になります。私はこの吹き方が好きです。曲の節目や長い音は「フー」で吹きはじめて、他は「プププ」で吹きます。速いフレーズはさすがに吹けないので、そこだけ「ルルル」を使います。…そもそもそんなに速い曲を吹かないのです。
「ルルル」を主に使うスタイル
ぜんたい的にかちっとした雰囲気になります。「ルルル」というのは西洋でいう”タンギング”です。このタンギングをきっちりやると西洋のリコーダのような硬質な音になります。

自分はこんな音が好きだ、というのが決まると上達も早いはず。

音を失速させる

インディアンフルートの音をだんだん小さくしながら同時に指穴をゆっくりふさぐと、音程がふにゃーっとさがります。音程がさがっているのですが、私にはなんだか失速して空から落ちているように聞こえます。高いラの音でやると鳥や獣が鳴いているようにも聞こえます。
» 高いラの音で失速

音を下げて終わるところで失速させる

「…レ・ド・ラー」のように音を下げて終わるところで失速させると、曲全体がふにゃーっとやわらかく着地してくれます。「…レ・ド・ラー」ならレの音を失速させるかドの音を失速させるか。逆に最後のラの音はこれで終わりだぞと、強めに吹いたり装飾音を入れたりビブラートをかけたりすると引き締まります。
» ミーレードーラーの レ の音のところで失速
» ミーレードーラーの ド の音のところで失速

ミレドの装飾音

インディアンフルートの装飾音について一般的な説明しました。それとは別に「こんなときはこう」のような、特別の決め技みたいな装飾音があります。

「ドー」とのばすときに「ミレドー」と吹くのを聴いたことがあります。ジョセフ・ファイヤークロウと、ブライアン・アキパも同じことをしていました。二人の演奏をマネしているうちに私もクセになりました。「ミレド、ミレドー」のようにしつこくくりかえすこともあります。
» 「ドー」とのばすときに「ミレドー」と装飾する

この装飾音はドの音以外ではあまり聞いた覚えがありません。たとえば同じように「ラー」とのばすときに「レドラ、レドラー」とやってもよさそうなのですが…たぶん他の音でやってもビシッと決まらないのだと思います。

音をずりあげる

インディアンフルートの音を出しながら指穴をゆっくりあけると音程がにょろーっとずりあがります。
» 音をずりあげる

指穴をゆっくりあける方法はいろいろあります。とにかく、あければいいのです。

  • 穴を押さえている指を横にスライドしてあける
  • 指を横に倒すようにひねってあける
  • 指をまっすぐにしてシーソーのように跳ねあげてあける

この装飾音は演奏者によってはっきり好き嫌いが別れると思います。使う人は使う、使わない人は使わない。私は使いません。音をずりあげるとインディアンフルートっぽく聞こえない気がして。欧米人がずりあげると、なんだかヨーロッパの笛―アイリッシュフルートなど―のように聞こえます。私自身がずりあげると、なんだか日本の笛のようになります。その人の民族性に引っぱられてしまうようです。

逆手にとってインディアンフルートをまるでアイリッシュフルートのように吹く人もいますが…私は、アイリッシュを演奏したければ素直にアイリッシュフルートを吹けばいい、と思います。
「インディアンフルートでも吹ける」ではなくて「インディアンフルートだから吹ける」という姿勢です。

インディアンフルートの入手方法について

このウェブサイトに掲載しているインディアンフルートの写真や試聴サンプルは、世界楽器てみる屋で販売しているフルートを使いました。特に試聴サンプルについては、てみる屋の主人が一生懸命練習して録音したものです。きれいに聞こえるようにとエコーをかけたりしていますが、たとえば渓谷や鍾乳洞、アパートや地下鉄の階段、お風呂場など反響のよい場所で吹けばほんとうにこんな音がします。

てみる屋ではほかにもバグパイプや一人で合奏できるオカリナなど、街の楽器店ではあまり見かけない珍しい楽器おもしろい楽器をいろいろ販売しています。
ぜひご利用ください。

【世界楽器てみる屋】

» http://gakki.temiruya.com/

プロのような余裕ある演奏をするために

CDを聴くとやっぱりプロの演奏はきれいだなと思います。テクニックがどうだということもあるでしょうが、プロの演奏には余裕があります。長いフレーズをろうろうと吹きます。私がこれをマネしようとしてもまず息がもちません、途中で「ぷーぷぷ、ぷ。」と息切れしてしまいます。プロの演奏は総じて一息が長いです。だから演奏に余裕ができます。たしかに上手な人ほど少ない息でムダなく吹きますが、それでも管楽器を演奏するなら肺活量は多い方がいいに決まっています。

インディアンフルートのために肺を鍛えるべし

余裕のある演奏をするために…

  • 肺活量が多いこと
  • ぱっと一瞬でたくさんの空気を吸いこめること

肺を鍛えるには水泳がいいという話を聞きました。なるほどと思いました。そういえば水泳は健康にもいいそうですよ、むしろ世間ではそちらが主でしょうか。でも私は運動がきらいなので、水泳はどうにも気がすすみません…(ダイエットのために泳げと両親から言われました。)

口から吐いて鼻から吸え

いろいろな楽器で遊んでいると悪知恵だけは働くようになります。ちょっとやってみましょうか。(私もまだ修行中ですが。)
» 切れ目なくインディアンフルートを吹く(1分55秒)

「つまんない演奏…」だとか「インディアンフルートに聞こえないっ」とかいろいろあるでしょうが。音がまったくとぎれないことにご注目ください。もちろん一息で吹けるわけもなく、何度も息つぎしています。口から息を吐きながら同時に鼻から吸っているので、音がとぎれないのです。

この「口から息を吐きながら同時に鼻から吸う」という奇天烈な呼吸法を「循環呼吸」といいます。

意外に知られている循環呼吸

管楽器は息で吹いて鳴らしますから息切れすれば演奏も途切れます。切れ目なく演奏するには?口から息を吐きながら同時に鼻から吸う循環呼吸を使えば、息を吸っている間も管楽器を鳴らしつづけることができます。循環呼吸は意外に広く知られていて、ユーラシア大陸のあちこちで見かけます。

  • バリ島のスリン
  • パキスタンのアルゴザ
  • インドの蛇つかいの笛

パキスタンのアルゴザ

二本組の細長いたて笛です。一本は指穴がなくていつも同じ音を鳴らします。(ドローン管といいます。)もう一本にはふつうに指穴があってメロディーを演奏します。二本いっしょに吹くと独りで合奏ができます。
» パキスタンのアルゴザの音

ドローン管の音がまったく途切れないのに注意。メロディー管の音が途切れているのはたぶん、舌先で吹口に栓をしているんだと思います。

インドの蛇つかいの笛

プーンギーというそうです。ぽっこりしたあの形はひょろ長いヒョウタンでできているから。これもドローン管とメロディー管があって二つの音を同時に鳴らします。やっぱりドローン管の音が途切れません。
» インドの蛇つかいの笛の音

オーストラリアのディジュリドゥ

オーストラリア・アボリジニの大きな木管ラッパ。なぜか日本でよく見かける循環呼吸楽器です。びょ~~と途切れることなく鳴りつづけます。オダギリジョーの主演した映画「蟲師」の冒頭で使われました。
» オーストラリアのディジュリドゥの音

インディアンフルートは循環呼吸しやすい笛

もちろんインディアンフルートは循環呼吸する楽器ではありません。一曲の中で何回息つぎしてもいいし、音が途切れても問題ありません。インディアンフルートで循環呼吸する意義は、演奏をゆったりと余裕あるように聞きかせることにあります。

プロの演奏は総じて一息が長いと書きました。そんな曲をアマチュアがマネして演奏するところを想像してみてください。自分もプロのようにと長いフレーズを息継ぎなしに吹こうとする。終わりのほうは肺に残ったわずかな息をしぼるために必死。いかにも苦しそうな表情。のばす音はぷるぷると今にも消えそう……間一髪なんとか吹ききった、やったあっ!!プッ、ハアーッと水面から顔を出したみたいに盛大な息つぎ――これでは興ざめです、いかにも素人っぽいでしょう。

息苦しそうに笛を吹くと素人っぽく見えます。プロはすまして余裕しゃくしゃくのように演奏します。これはきちんと肺と腹筋を鍛えているからできるんですが、そして笛を吹く者としてはきちんと肺と腹筋を鍛えるのがスジなんですが。

循環呼吸ができれば素人でもある程度ごまかせます。
笛の中でもインディアンフルートは循環呼吸しやすい笛です。音の高さが安定している、バックプレッシャーが強いなど、理由はいくつかあります。梅雨時期はバックプレッシャーが特に強くなるので循環呼吸を練習するのにもってこいの季節です。べつに必須ではないけれど、他の笛よりも簡単にマスターできるんだからせっかくだからマスターしたら、という話です。

丸々一曲を循環呼吸で吹く必要はありません。長いフレーズの終わりのあと数秒っ、というところでほんの少し、呼吸をごまかせればいいんです。

口の中の空気を押しだしている間に鼻から吸う

口から息を吐きながら鼻から吸うというのは、種明かしすればたいしたことではありません。子どものころプールや風呂場で口いっぱいに水を含んで、水鉄砲のようにぴゅーっと吹きだしたことがあるでしょう。(今考えると汚いな。)あれがもし水ではなくて空気で、しかも笛をくわえていたらどうでしょうか。一瞬「ぴょ」と鳴るはずです。その瞬間に鼻から息を吸いこみます。

循環呼吸のようすをゆっくり説明すると次のようになります。

  1. 笛をふつうにふーっと吹いている状態からはじめます。
  2. 前準備として、笛をふーっと吹きながら口の中を広げて空気をためていきます。
  3. 循環呼吸を開始します。まず口の中にためた空気を押しだしはじめます。
  4. 直後に息を吐くのをやめます。やめても口の中の空気を押しだしているので、笛は鳴りつづけます。
  5. 鼻からいそいで息を吸います。口の中の空気を押しだしているので笛は鳴っていますが…空気は残りわずか。
  6. 吸いこんだばかりの息を口から吐きだしはじめます。間一髪でつながりました。笛は鳴りつづけたままでした。

理屈ではたしかに途切れることなく笛を吹けそうですね。そして実際に途切れることなく笛を吹くことができます。循環呼吸というのは結局これだけのことで、あとは教えることも教わることもそんなにありません。この呼吸法の難しさは「今までやったことのない不自然な呼吸を身につける」という単純明快なところにあります。

これはもう自分の身体に覚えこませるしかない。自分が練習するしかないという話です。

低い音ほどそっと吹くべし

インディアンフルートにかぎらずどんな笛でも、低い音ほどそっと吹かないと裏返ってキーキー鳴ります。低い音が出ない場合の原因はほとんど決まっています。

  • どこかの指穴にすき間がある。ぜんぶの指穴をきちんとふさいでいない。
  • 息が強すぎる。特にインディアンフルートは音が小さいので、他の笛に比べてそっと吹かないといけません。

ところが「どうしても裏返るんですけど…」という相談があって、いろいろ調べてみるとどうも、タンギングが原因らしい。

どうしてもだめならタンギングをやめてみる

笛を吹くときに「トゥー、トゥー、トトト」と舌先で勢いをつけて吹くことを西洋の音楽用語で「タンギング」と言います。タンギングすると一つひとつの音がカッチリします。西洋のリコーダーやコンサートフルートではタンギングは習得必須です。

ところがインディアンフルート(の特に低音管)でタンギングすると、音が裏返ることがわかりました。ってもすすすっとやさしくタンギングすれば問題ないのですが。ターンとするどくタンギングすると強すぎて音が裏返ります。

インディアンフルートではタンギングは習得必須ではありません。
西洋の笛のようにカッチリした音が好きなら練習するし、そうでなければ気にしなくてもいいでしょう。

口いっぱいに空気をためる練習

最初に口いっぱいに空気をためる感覚を実感するといいと思いますが、空気だとまだ分かりにくいので、水でやってみましょうか。

  1. 口いっぱいに水を含んでください。舌は奥に引っこんで顎はさがって、ほっぺたがふくらんでいるはずです。
  2. 息を止めてください。
  3. 息を止めたまま口の中の水をぴゅーっと押しだしてみてください。舌を前に押しだして、顎をかみしめて、ほっぺたをすぼませます。

息を吐いて口の中の空気を押しだしてはいけません!!
息は止めたまま、舌や顎やほっぺたを使って口の中の空気を押しだします。

どうでしょう。口いっぱいに水を含んだときの感じをよく覚えておいてください。本番ではこれが水ではなくて空気になります。

注意)
早まって口に水を入れたまま息を吸う練習をしないこと。まちがって水を吸いこむと大変です。

息を吐きながらもぐもぐする

口いっぱいに空気をためる感覚を覚えたら、次の練習に進みましょうか。

  1. コップでも洗面器でもお風呂でもいいから水をためる。
  2. ストローをくわえて先を水につける。
  3. そのまま息を吐く。ぶくぶくとストローの先から泡が出るはず。
  4. 息を吐きながら同時に口をもぐもぐさせる。口いっぱいに空気をためて押しだすのをくりかえす。息は吐きつづけたままです。
  5. もぐ、もぐ、もぐ、とやりながら1,2,3。 1,2,3。 の3でぴたっと息を止めます。
    息を止めても口の中の空気を押しだしているのでぶくぶくは止まらないはず。
  6. 1,2,3。 1,2,3。 と連続してやってみる。

息を止めるかわりに鼻から吸いこむことができれば循環呼吸の完成です。

口の中の空気を押しだしながら鼻から吸う

口の中の空気を押しだしながら息を止める練習をしました。次が山場、口の中の空気を押しだしながら鼻から息を吸います。

  1. ストローをくわえて先を水につけぶくぶくと息を吐く。
  2. 息を吐きながら口をもぐもぐさせる。
  3. 口をもぐ、もぐ、もぐ、とやりながら1,2,3。 1,2,3。 の3で鼻から息を吸う。

タイミングとしては、まず口の中の空気を押しだしはじめるのが先行して、コンマ秒遅れて鼻から息を吸いこみます。余裕はありません、一瞬、最初はほんの少しだけ息を吸いこみます。

そして(ここが本当の山場です)口の中の空気がなくなる前に吸いこんだばかりの息を吐きはじめます。

口から息を吐きつづけることに一番集中してください。鼻から吸いこむのは意外にすぐにできるはず。最後まで難しいのは口の中の空気がなくなる前に息の吐きだしを再開することです。

コツがどうとかなくて、身体に覚えこませるしかないです。

  1. ストローを短く切って先をつぶします。
  2. これを四六時中くわえて循環呼吸の練習をします。
  3. テレビを見ながら、音楽を聴きながら、パソコンをしながら、とにかく感覚がつかめるまで練習します。

ストローの先をつぶしておくと空気がつっかえるので循環呼吸を練習しやすいです。(これをバックプレッシャーと言うのだと、ディジュリドゥの教室で教わりました。)

ほんとうに循環呼吸してみる

循環呼吸の感覚をつかめたらストローは不要です(かえってヘンなクセがつきます。)インディアンフルートで実際に循環呼吸をしてみましょう。

難しさは先をつぶしたストローの比ではないはず。一瞬で口の中の空気が空になります。できるだけ空気をほおばって、ばふっと押しだしながらすっと息を吸います。直後に息を吐きはじめないと音が途切れてしまいます。

ただ、
本番はここまで要求されません。インドの蛇つかいの笛のように音が途切れたとたんヘビが噛みついてくるわけでもない。長いフレーズを吹いていて息が続かなくなりそうなとき、一瞬ごまかせればよい。そうでしたよね。

ごまかせればいいのでした。

静かに息つぎをするのが目的

インディアンフルートはもともと循環呼吸をしない笛です。だから失敗して音が途切れてもドンマイです。息つぎを静かにすると余裕のある優雅な演奏に聞こえる。だから息つぎが静かで目立たなくなるなら、循環呼吸を失敗して多少音が途切れてもOKなのです。

いろいろごまかしながら循環呼吸する

たとえば音をまっすぐ伸ばして聴かせているときに循環呼吸をするとモロバレです。音と音の間、装飾音、ビブラートなど、なにかするときに紛れて循環呼吸すれば素人技でも十分実用になります。「そんな忙しいときに循環呼吸までするの?」と思うかもしれませんが、なじんでくるとかえってそれが循環呼吸開始の合図になってくれたりします。
» 循環呼吸しながらインディアンフルートを吹いてみた

自由自在に循環呼吸できる必要はありません。一つの曲でいえば、息が苦しくなる場面は決まっているはずです。「循環呼吸はここでする」と決めてしまって練習すればいいです。

インディアンフルートのマネをして吹け

「とにかくインディアンフルートの音が好き。」という人であればなんの苦労もないのですが。本物のインディアンが吹くように吹きたい、コロラドの赤い渓谷やヨセミテの原生林が目に浮かぶような演奏をしたいと願うなら、それなりの苦労を伴います。

インディアンフルートらしく吹くコツはなんでしょうか。
それはずばり「インディアンフルートのマネをして吹く」ことです。

たとえば友だちが遊びに来てインディアンフルートの話になって、「インディアンフルートってどんな感じなの?」と興味津々あなたに尋ねたとします。あなたはソファに転がしているインディアンフルートを掴みました。

さてあなたは今、インディアンフルート演奏者の全世界代表として友だちの前にいます。今からのあなたの演奏を聴いて友だちは「ああインディアンフルートってこんななんだ」と理解するでしょう。インディアンフルートとはこんなだと友だちに正確に理解してもらうために、あなたは思いつくかぎりいちばんインディアンフルートらしく吹いてみせなくてはなりません。

あなたの今までの知識―CDやコンサート、YouTubeの動画など―を総動員して、少しでも本物っぽくそれらしく吹こうとするはずです。
これです、まさにこれですっ。これがインディアンフルートらしく吹く、ということです。

例題

インディアンフルートの運指、装飾音、音の区切り方など、一つひとつの話についてあらかた説明しました。あとはそれらを組みあわせてどんなふうに吹けばいいのかという話です。これには短いフレーズを一つ例にあげて説明すればいいでしょう。

次のようなフレーズを例題として解説していきます。

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

そっと静かに吹きはじめること

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

最初に全体的な注意として。
一つ一つの音をみんな、そっと静かに吹きはじめてください。
いきなりマックスでぷーっぷーっと吹くのではなくて、ラジカセのボリュームをすばやく回すように小から大へすっと大きくします。これは音と音の間を区切って吹くときは必ずそうすると考えてください。冒頭の「ラドレミー」はラ・ド・レ・ミーのぜんぶの音についてぞれぞれ、すっ・すっ・すっ・すぅーっと吹きはじめています。
» 冒頭の「ラドレミー」

このように吹くとインディアンフルートの音がやわらかく聞こえます。 » 関連記事

唇でふぉっふぉっと区切る

一音一音ぜんぶをすっすっすーっと吹くなんてそんな忙しい、と思われるでしょうが。これは唇でやってます。音と音の間を区切るときは息を切るのでなくて、息は吐いたまま唇でふぉっふぉっとやわらかく区切っています。

このとき唇を完全に閉じてしまうとぽっぽっぽーっという音になりますので、唇を完全に閉じてしまわないように手加減しながら、ふぉーっ、ふぉーっと吹きます。

と言いつつ私もよく失敗してぽーっと吹いていますけど。
この唇で音を区切るやりかたはインディアンフルートらしいおっとりした音色になりますが、速い曲が吹けません。速い曲はるるるっと舌先で音を区切ります。

運指(伝統的な音階)

インディアンフルートの音階は下から"ラドレミソラ"です。それより高いオクターブの音は、確実に出るのは高いドの音までです。それより高い音を出せるフルートをたまに聴きますが、特注したのか自作したのか…めったな幸運では手に入らないでしょう。

運指表

○…指穴をあける、●…指穴をふさぐ、白黒半分…指穴を半分あける
※ 高いドの運指はフルートによっていくつかのパターンがあります。

» 下からラドレミソラ+ド

指穴を半分だけあけるには

  • 1番上の指穴は、左人差指を爪を立てるように曲げて少しだけすき間をあけます。
  • 下から2番目の指穴は、右手中指をひねるようにして少しだけすき間をあけます。

同じ音の連続を装飾音で区切る

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題の頭の「ラドレミーミーミ  レミミーー」のところはミーミーミ、ミミーーのように同じミの音が続いています。同じ音が続くときはふつうに音を区切ってもいいのですが、右手人差指の装飾音で区切るのもアリです。例題ではぜんぶ装飾音で区切っています。
» ミの音の連続を装飾音で区切る

ぜんぶ装飾音で区切ってしまうとにょろっとした感じになってしまいますね。あるいは何カ所かはふつうに区切った方がよかったかもしれません。

右手人差指を一瞬叩く感じ

右手人差指の装飾音は、インディアンフルートを鳴らしながら一瞬、右手人差指で指穴を叩きます。スローモーションで説明すると指が上がって指穴が開き、それから指が下がって指穴をふさぎます。

でも実際には指を上げている自覚はありません。TVゲームのボタンを押す感じに似ています。「指を上げてそれからボタンを押して…」なんてしないでしょう。押す、押す、押すっ。こんな感じです。 » 関連記事

それと秘訣なんですが、
人差指の動きに合わせて舌先でツツッ、ツツッと息をすばやく切ってやると、インディアンフルートらしい強烈な装飾音になります。 » 関連記事

インディアンフルートのチューニング

インディアンフルートにかぎらず民族楽器は「コンサートピッチ!」を謳っていても10%~20%ずれてて当たり前なところがあります。世界楽器てみる屋で販売しているエリックさんのインディアンフルートは基本的にコンサートピッチではありませんから、ピアノをバックにインディアンフルートを演奏したいが音があわない!というようなことが起こります。

相手がギターならギターのほうをインディアンフルートにあわせればよいのですが、ピアノだとそうはいかない。インディアンフルートのほうをチューニングするしかありません。インディアンフルートはもともとチューニングできる笛ではありませんが、音を全体的に下げることはできます。

歌口に蜜蝋をつめると音が下がる

これはパキスタンの笛アルゴザで実際に行われている方法です。蜜蝋のかけらを小さく丸めて歌口にぎゅうっと押しこみます。これでインディアンフルートの音を半音くらいまで下げることができます。
» なにもしないインディアンフルートの音
» 蜜蝋を歌口につめたときの音

こんなみっともないことを実際にやるかどうかはともかく、トリビアとして知っておいて損はないでしょう。

蜜蝋はミツバチの巣を融かし固めたものです。色・手触りはローソクのようですが粘土のようにやわらかい。ハチミツのにおいがします。蜜蝋は蝋粘土といって、私は高級教育玩具用の蝋粘土を購入しました。昔は駄菓子屋に売っていましたが…今はどうなんでしょう。蜜蝋はほかにはハチミツの専門店で売っているという話です。それとディジュリドゥを吹く人が持っているかもしれません。蜜蝋でローソクを作っている人から分けてもらうといいかも。画材店で売っている蜜蝋は精製しているので硬すぎます。

歌口につめるのは蜜蝋でなくても、食パンをちぎって丸めたものでも何でもいいんですけど。あとが汚くなければ。

長い音はだんだんビブラート

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題の頭で何カ所か、長く音をのばすところがあります。「一音一音そっと静かに吹きはじめること」と説明しましたが。このように長くのばす音は特に、小さな音からだんだん大きくしながらビブラートをかけるといいです。このへんの要領は日本の演歌とそっくりです。あーあんな感じ、と分かるでしょう。 » 関連記事

» 長い音はだんだん大きくしながらビブラートをかける

ビブラートは、要は音をゆらせばいい

音を長くのばしながらビブラートをかけると上手っぽく聞こえます。
この例題くらいゆっくりしたビブラートは、本当に息の強さを周期的に変えてます。コツなにも、本当にそのようにゆらゆらと音をゆらしながら吹いています。

もう少し速いビブラートは、インディアンフルートを吹きながらうふふふふっと笑うとできます。ふだんは意識して笑ったりしませんからお腹が気持ち悪いですが、そのうちフルオートでビブラートがかかるようになります。 » 関連記事

実はビブラートをかけずにまっすぐ音をのばす方がはるかに難しいです。だからビブラートはできるようになって損はしません。

聴かせどころの高い音をまっすぐ

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題中盤の「ミソーミレー」は聴かせどころで、フレーズの中でいちばん高い音が出てきます。長くのばす音はビブラートをかけるものですが、このいちばん高いソーの音はわざとビブラートをかけずにまっすぐのばしています。…こうした方がカッコイイ気がしたので。
» いちばん高い音はわざとビブラートをかけなかった

インディアンフルート奏者の真砂秀朗さんがこんな、まっすぐな音を使います。紙飛行機を投げたようにどこまでもまっすぐのびる音はもう、ほれぼれします。

一般に、笛の音をまっすぐのばすのは非常に難しいです。しかしインディアンフルートはピッチが安定していますから他の笛よりはマシです。特に高い音は息を強めに吹きこむとふらつかなくなるので、狙ってみる価値はあります。

長い音の間に不規則な装飾音

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題中盤「ミーソーーミーレーー」のレーーの中で2回、装飾音が入っています。ここで説明しているのは前に入ってる装飾音の方。

インディアンフルートでは同じ音がいくつも続くときに右手人差指の装飾音で区切ったりする、と説明しましたが。一つの音を長くのばすときにも不規則に入れることがあります。「一つの音を長くのばしてもつまんないよなー飽きちゃうよなー、間が持たないよ。」という感じにぴょこっぴょこっと入れます。 » 関連記事

不規則さが命

この”不規則に”というのが極めてアナログな感覚で、言葉で説明できません。強いて言えば”外す”ことを心がけます。「1,2,3,4,…」のようなきれいな拍子には絶対に乗りません。聴いている人が「えっ、ええっ?」と蹴躓くような場所に入れます。
例題の2つの装飾音のコンボは自分でもきれいにキマっていると思います。1発目の装飾音のおかげで2発目の跳ねあげがすごく中途半端に聞こえます。
» レーーで不規則に入る2つの装飾音

曲をたくさん聴いて身につけるしか

こういう、言葉で説明できないことがインディアンフルートの芯です。言葉で説明できない、楽譜にも書けない。これはインディアンフルートの曲をたくさん聴いてまるごと身にしみこませるしかありません。曲を聴きながらいっしょに頭の中で装飾音を入れてみます。最初は「えっ、ええっ?」と蹴躓いてばかりですが、そのうち来るのが分かるようになります。違和感がなくなって、最後には「ここで来なきゃウソだろうっ」という感覚になります。

高くなって低くなって終わり

そういえば、インディアンフルートの曲は低い音―具体的には低いラかドの音―で終わることが多いです。ありがちなのは、低い音から始まってだんだん高くなって、まただんだん低くなって終わる、みたいな。
だからなんだということもないですが、即興するときのパターンとして覚えておくといいかなと。

おとなしく吹いて終わりを合図する

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題終盤の「ラードードー」のあたりから少しだけ、音量を下げておとなしく吹いています。聴いている人が「ああもう終わるのかな」と、そのつもりで聴いてくれるようにという配慮です。(録音がうまくいかなくて聞いて分かりにくくなりました、すみません。)
» 終わりっぽく聞こえるように少しおとなしめに吹いてみた

楽器の演奏を、演奏者と聴き手とのコミュニケーションと捉えるなら、楽譜どおりの音を出すだけではなくて「ここ、聴き所よっ」「もう終わるね、いいよね。」というメッセージまで聴き手に伝えるのが上等でしょう。聴き所なら音の強弱を大げさに強調して装飾音やこぶしで飾り立てる、しんみり終わる前には音量を下げて抑揚も乏しく演奏してみせる。ステージの派手なアクションも音には関係ありませんが、コミュニケーションという観点からは無視できません。

…っても演奏に余裕があれば、できればの話ですよ。
実際、初心者の演奏は音符を追うことに必死で聴き手へのメッセージがないので、だからいかにも初心者な演奏に見えます。私自身、覚えたての曲をよく練習もせず人前で吹くとメロディーだけ追いかけたベタっとした演奏になります。

ミレドの装飾音

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

ミレドの装飾音

ドの音を長くのばして終わるときはミレドの装飾音を入れてみてはどうでしょうか。ミレドの装飾音は、ドーーと長くのばしている間に「ミレドッ」とすばやく吹きます。「ドーーミレドーー」のように指をすばやく、ぱらぱらっと動かす感じです。 » 関連記事
» ミレドの装飾音

例題では「ミレーレー、ドーー」のように吹いてますが、吹いている私の意識としては「ドーーーー」と一つの音をずっと引っぱっています。「もう終わりますっ」と聞き手にアピールするために過剰に装飾したため、装飾音というよりメロディーの一部のようになってしまっていました。

循環呼吸で長いフレーズを吹きこなす

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題終盤の「ドレレーードーラードードー  ミレドーー」は息継ぎなく一息で吹いています。長いフレーズを一息で悠々と吹きこなすと、インディアンフルートにふさわしい、ゆったりおちついた感じに聞こえます。(達人っぽい雰囲気も期待できます。)
長いフレーズを一息で吹けるようになるために、毎日水泳などして肺活量を増やすのが本当ですが。

ここでは循環呼吸を使って音を途切れさせずに息継ぎをしています。例題をよく聞くと、最後の「ミレドーー」の直前にスンと鼻をすするような音が入っています。この瞬間に息を吸いこんでいます。循環呼吸の瞬間は、どうしても音がよろけたりしますので、音と音の継ぎ目でしかけたり、ビブラートや装飾音でごまかしたりするといいです。 » 関連記事
» ミレドの装飾音にまぎれて循環呼吸で息継ぎ

息継ぎしてみせることも大切

インディアンフルートは笛の中でも特に循環呼吸しやすい笛ですから、積極的に取りいれていけばいいと思います。
ただしあんまり長いフレーズを息継ぎなしで吹くと不自然になります。インディアンフルートではフレーズの間の息継ぎも大切な演奏要素です。

2009年03月23日

フレーズの最後を跳ねあげる

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明しています。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

例題の最後は「ドーー(ピョッ)」と音を跳ねあげて締めくくっています。フレーズの最後や曲の最後でぴょっと音を跳ねあげるのは、いかにもインディアンフルートらしいやり方です。積極的に挑戦すべきです。 » 関連記事

» 最後をぴょっと跳ねあげて終わるとインディアンフルートっぽい

これは息をすうっと小さく消しながら、ぜんぶの指をぱっとひらきます。指につられて息をぷっと強く吹くととんでもないことになるで注意。息はそっと、指はすばやく元気よく。

拍子からはなれて吹く

インディアンフルートらしく吹くコツについて例題を追いかけながら説明してきました。

例題

ラドレミーミーミ  レミミーー
ミーソーーミーレーー
ドレレーードーラードードー  ミレドーー
» インディアンフルートの例題を吹いてみた

拍子とは2拍子、3拍子、4拍子といったあの拍子のことです。インディアンもみんなで歌ったり踊ったり、インディアンフルートと太鼓で合奏したりするときには、2拍子なり4拍子なりでノリを合わせますが。フルート一本だけでソロ演奏するときは拍子なしで吹くことがよくあります。あるいはフレーズの場所場所によって3拍子だったり4拍子だったりコロコロ変わると言えばいいのでしょうか。

拍子とはそもそも、何人かでいっしょになって歌ったり演奏したりするときに足並みをそろえるために必要なものですから。たった一人でフルートを吹くときに拍子を守ることは必須ではありません。むしろ拍子からはなれて自由に吹いてみせることにより、いかにもインディアンフルートらしい悠々とした雰囲気になります。

例題は全体的に拍子を感じさせないように、わざと1拍増やしたり減らしたりしながら吹くことを心がけました。
のばす音を1拍よけいに長く吹くというのは、拍子をくずす簡単な方法だと思ってます。

やっぱりたくさん聴こう

いかにもインディアンフルートらしく吹くコツは「インディアンフルートのマネをすること」だと説明しました。なんというか「インディアンフルートというのはつまりこんな感じ」というのが頭の中にあって、そのとおりに演奏するということです。しかしそれには「つまりこんな感じ」というのが頭の中にできていないとダメです。

「つまりこんな感じ」というのはどうすればできるのか。これはもう聴くしかないです。CDでも生演奏でもたくさん聴くしかないです。これは聴いた総時間が大事で、たくさんのCDを集める必要はありません。1曲だけだったら1000回、10曲入りのCDなら100回、CDが10枚あるなら10回ずつ、みたいな感じです。(1曲を1000回聴くのは修行みたいなので、やっぱりCDは何枚かあった方が楽しいと思います。)

おつかれさま

インディアンフルートの吹き方について、一つの例題を追いかけながら説明してきました。これで終わりです。

インディアンフルートは笛の中でおそらく最も簡単な笛です。マスターするのは本当にたいしたことない。「インディアンフルートのマネをすること」これが今、私が言えるベストのアドバイスです。いろいろ言い足りないことがあるような気がしますが…それはまたの機会に、どうもおつかれさま。

インディアンフルートの楽譜

巷で入手できるインディアンフルートは指穴が6つです。これならインディアンフルートの伝統的な音階にこだわらずに西洋音階ドレミを吹くことができます。

インディアンフルートでふつうの曲を吹こうとしたときにどうしても困るのは、音域が狭いことです。「ラシドレミファソラシド」くらいまでしか出ません。インディアンフルートで吹ける曲は、この音域におさまる曲になります。

mixiの北米インディアンフルートコミュでは次のような曲が挙げられました。

  • ふるさと
  • あかとんぼ★
  • ラスト・オブ・ザ・モヒカンズ
  • アメイジンググレイス

★ あかとんぼは、出だしの低いソが出ません。ラララーとごまかして歌いだす必要があります。

インディアンフルートの楽譜を集めた北米のサイトを見つけました。これも大いに参考になると思います。
» Flute Songbooks for Native American Flutes

唇の当て方

インディアンフルートの唇の当て方、といっても難しいことは何もないです。唇を普通にとじて吹口にぴたっと当てるだけでよいです。インディアンフルートは小学校の縦笛と同じで、吹けば鳴るものですから。このへんは適当で大丈夫です。
「火吹き竹」って言ってわかるでしょうか。キャンプなんかで火を起こすときに使う竹筒なんですが。それを吹くのと同じ要領なんですが。

なお、インディアンフルートによっては吹口が細くなっているものがあります。ほんとうに細い吹口であればいっそカプッとくわえてしまえばいいのですが。細いけれどくわえるには太すぎるような…という微妙な細さの吹口だったりします。

このサイトで教えているインディアンフルートの吹き方では、唇で音を区切ることをします。できれば吹口をくわえるよりは、唇を当てるやり方をお勧めします。

写真のフルートの吹口くらいであれば、くわえるよりは唇を当てる方が楽です。

6穴フルートの運指(伝統的な音階)

まず、
インディアンフルートの伝統的な音階を吹くなら、5穴フルートのほうがぜったいに簡単です。お手持ちのフルートが6穴なら上から3番目の指穴をストラップでしばってください。これで5穴フルートとして使えます。

○…指穴をあける、●…指穴をふさぐ、白黒半分…指穴を半分ふさぐ
5h-trd-080506.gif

意地でも6穴のまま伝統的な音階を吹くのであれば、上から3番目の指穴をストラップの代わりに指でふさいで吹けばいいです。

○…指穴をあける、●…指穴をふさぐ、白黒半分…指穴を半分ふさぐ
6h-trd-080506.gif

6穴フルートの運指(ドレミファソラシド)

ドレミファソラシドを吹く場合は6つの指穴をぜんぶ使います。ストラップで上から3番目の指穴をしばっている場合は、外してください。

○…指穴をあける、●…指穴をふさぐ、白黒半分…指穴を半分ふさぐ

アメイジング・グレイスの音階

インディアンフルートのいちばん下の音はラです。ですが、運指次第ではほかの音からはじめることもできます。アメイジング・グレイスのいちばん下の音はソですが、6穴のフルートなら吹くことができます。

1. ソドーミレドミー レドー(ラー)ソー
2. ソドーミレドミー レーミソー
3. ミソーミレドミー レドー(ラー)ソー
4. ソドーミレドミー レードー
» アメイジンググレイスを吹いてみた

アメイジング・グレイスは本当はラの音も使います。この場合いちばん下の指穴を半分だけあけるとラの音が出ますが、不安定でむつかしいです。カルロス・ナカイはラの音を省いて吹きますので、まねして吹いてみました。この潔いアレンジはかえってインディアンフルートらしいと私は思います。

CDの音を自分のフルートにあわせる

インディアンフルートの曲は耳で聞いて覚えるものです。慣れるまでは大変ですが慣れたら…やっぱり大変なんですが、自分のフルートと覚えたい曲の音がそろっていればけっこうイケるものです。でもたいていは音がずれていてすんなりいきません。

ネットサーフィンしていて使えそうなフリーソフトを教えてもらいました。『聞々ハヤえもん』といって、音楽CDやパソコンの音楽ファイルを、速度や音の高さを変えて聞くことができます。

  • 速すぎて何をしているのか分からない曲もゆっくり再生すれば聞きとれるでしょう
  • 曲の音の高さを自分のフルートにあわせて、CDといっしょにフルートを吹くこともできます

聞々ハヤえもんの使い方(Windows用です)

  1. 以下のサイトからソフトをダウンロードする
    http://www.forest.impress.co.jp/lib/pic/music/musicplay/hayaemon.html
  2. ダウンロードしたファイルを解凍する
  3. 解凍してできたHayaemon.exeをマウスでダブルクリックする
    →聞々ハヤえもんのメイン画面が表示される
  4. 音楽ファイル(mp3,wmaなど)のアイコンをマウス左ボタンで押さえ、聞々ハヤえもんのメイン画面まで引きずっていって、放すと曲が再生される
  5. 再生速度や音の高さをちょうどよくして聞く

CDの音を自分のフルートに合わせるコツ

今聞いている曲の、最後でぴーーーーとのばして終わる、その最後の音がラの音です。たまにドの音。この最後の音が自分のフルートのラ(あるいはド)の音にぴったり重なるようにCDの音の高さを調節します。

誰とも約束のない休日

"誰とも約束のない休日"とは、ふくやまけいこさんの著作「ゼリービーンズ」の冒頭で、ヒロインのアメリア・イアハートがベッドの上で寝タバコしながらつぶやくセリフです。今日は一日まったく自由、さて何をしようか……そんな満ち足りた平穏な朝も、呼び鈴けたたましく登場する女の子、エリノア・スミスによってぶち壊しになり、そのまま一夏の同居生活が始まる、というお話でした。どんな内容だったかおぼろげですが、この"誰とも約束のない休日"というセリフだけ妙に心に残っています。

» こんな曲
» 楽譜はこちら

運指表を見てのとおり、使う音域がオクターブ内なのでふつうのインディアンフルートでムリなく吹けるはずです。

大きな石の町

大きな石の町とは南米ペルーの町クスコのこと。クスコはインカ帝国の首都でもありました。

その昔、北アメリカのインディアンたちは中央アメリカのマヤ族・アステカ族と交易していたことがわかっています。

もっと広い世界を見てみたいと、中にはずっと南まで旅したインディアンもいたことでしょう。アンデス山脈までたどり着いた彼は、初めて見る大都市に目を見張ったにちがいありません。

長い旅を終えて帰った彼は子孫に話しました。
「そこは道も家もすべて大きな石でできていて、人はみんな虹のように色とりどりの服を着ていた。私がその町にたどり着いたとき、ちょうどお祭りだった。大きな広場に大勢の人が集まって踊っていた。額飾りや首飾りが太陽のようにきらきらと美しかった。あれはたしかこんな曲だったか…」

» こんな曲
» 楽譜はこちら

ちなみに彼が見たのは羊飼いの踊りです。 » 原曲はこんなの。
…うろ覚えなのでずいぶん違った曲になっています。

緩慢なる闘い(かんまんなるたたかい)

» 演奏サンプル
» 楽譜はこちら(pdfファイル)

映画や小説の主人公の生きざまは、私たちに勇気を与えてくれます。波瀾万丈の人生、次から次へと襲いかかる絶体絶命の危機。厳しい運命に怯まず立ちむかう彼ら彼女らの姿は、私たちに生きる勇気を奮い起こさせます。

…でも、
その勇気は実は、あんまり役に立ちません。日本に暮らす多くの人にとって人生は平穏で、かわりばえのない毎日がえんえんと死ぬまで続くものです。「世の中つまんないぜ!」なんて知ったふうに吐きすてる人がいますが。それこそが人生です、身にしみて分かれ。私たちの闘いは、この平穏でつまらない人生をけっして見限らないこと。かわりばえのない日常に踏みとどまること。

なーんて、こっ恥ずかしいテーマですがインディアンフルートならさまになります。胸を張り、高らかに、直球ど真ん中どうどうと演奏しましょう。おおきく二つのフレーズでできていて演奏サンプルではそれぞれ二回ずつくりかえして吹いています。単純な曲なので装飾音やビブラートでごてごてに飾りたててください。

母から教わった歌

「シラカバ林、ビーバーの住処、オオシカの群れさまよう、緑濃い水のほとり…」
今は遠くにある故郷を想い、いつか帰るという決意をうたった歌。

» こんな曲
» 楽譜はこちら(pdfファイル)

母から教わった歌、というのはタイトルではなくて本当に私が母から教わったという意味で。小学生のころだったか、母が帰宅するなり「てっちゃんインディアンの歌を教えてやる」と有無を言わさず覚えさせられた歌です。「なぜ突然にインディアン」と頭上に??を浮かべながら暗唱したのを子どもながらに覚えています。

私が知っている中で一番インディアンらしい歌、つまり「日本人がイメージするインディアンの歌」に聞こえます。これ本当にネイティブ・アメリカインディアンの歌なんでしょうか、日本人が作曲したんじゃないかと疑っています。たとえば地元の演劇の劇中歌を母が聞いて覚えて帰った、という状況がしっくりきます。
今となってはほんとうはわかりません。

簡単な曲ので覚えるのは楽だと思いますが。同じ音がつづくので装飾音を入れる、強く息を吹きこんで音をひずませる、ビブラートをかけるなどして飽きさせないように演奏します。

ネイティブラブフルートのデモ onYouTube

ネイティブラブフルートの製作者ステッペンデルビィがデモムービーをYouTubeにアップしました。遅い、もっと早くそうすべき。今日日いい物を作っているだけじゃだめです、しっかり宣伝しないと。

美しいスライドは工房の近くの自然―ヨセミテ―で撮影したものです。つまり工房はヨセミテ国立公園のすぐそばなわけで、なんとうらやましいロケーションでしょう。

そしてBGMはもちろんインディアンフルートです。工房で製作しているいろいろなフルートをとっかえひっかえ吹いています。ぱあっと視界がひらけるような明るい曲です。こういう曲想ってありなんですね。

気がつきました?
ありえない音域をやすやすと吹いたフルートが一本まざっていました。すっごく気になります。