-- 古代アナサジフルート --

アナサジフルートの吹き方、概説2

北米先住民族の遺産。1400年前の古代の音色が現代によみがえる。
前回に続いて、スコット・オーガスト氏の記事を翻訳しつつアナサジフルートの概説です。
» アナサジフルート概説のオリジナルページ

歴史

アナサジフルートの歴史は西暦500年までさかのぼります。この時代、北米フォーコーナー地域の文化をバスケットメーカーと呼んでいます。ちょうど土器が作られはじめた時代で、機織りはまだでした。メサベルデの崖に家が建てられたりチャコ渓谷にプエブロ大集落ができる前の話です。人々は竪穴式住居―アースロッジ―に住んでいました。ココペリのような、壁画アートが最頂点に達した時代です。
アナサジフルートはココペリの笛です。

かつてニューメキシコでアステカのすばらしい住居跡を再建したアールモリスが、1931年に北アリゾナのプレイヤー・ロック―キャニオン・デ・シェイの近く―を調査していて、洞窟で四本の笛を掘り出しました。(後で彼はその洞窟にブロークン・フルート・ケーブと命名しました。)これらの笛は、内部を容易にくり抜くことができる芯の柔らかいトリネコバカエデでできていました。(南カリフォルニアの同様の笛もまた、芯の柔らかいニワトコカエデで作られます。)

またモリスは1934年に、キャニオン・デ・シェイの一部であるキャニオン・デル・ムエルトのムリー・ケーブで、同様の笛を見つけました。これらの中には指穴が5つだけの笛もありました。この5穴の笛は1900年代に確認されたホピ族の笛に一致します。つまり1,500年の歴史を生き延びたことになります!これらの笛はコロラド大学のボウルダー氏のコレクションであると報告されています。

モリスはナショナル・ジオグラフィック・マガジンの記事で、笛の埋まっていた状況をつぎのように説明しています。

老人の遺体―おそらくかつての長老または聖職者だったと思われる―の傍らにビーズ、かご、およびサンダルといったよくあるお供え物があって、バックスキンに包まれた笛が、片方の端が顎の下、もう片方の端が腿の間にくるように置いてありました。左側には木製の器具がたくさんあって、みな腐りやすいものなのですが、それらは珍しく非常に完全な状態でした。それらの中で目立つのは、骨を先端にかぶせたフリント製のフレーカ―これでナイフや矢尻を作ります―と、数本の槍と四つの見事な槍投器と、もう三本の笛でした。

注意
以上の私(スコット・オーガスト本人)の笛の研究において、特にモリス氏の発掘品に関して、私はまだ整理できていないので年代に食い違いがあるかもしれません。

…スコット・オーガスト氏の記事の翻訳は以上です。次回からアナサジフルートの鳴らし方を説明します。

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