-- 試聴サンプル、楽譜 --

エンヤ -At Moment Lost

インディアンフルートは北米インディアンに伝わる笛です。インディアンフルートでエンヤの『At Moment Lost』を演奏しました。
運指は動画を一時停止しながら確認してください。

インディアンフルートには眼鏡の曇りどめ

インディアンフルートやリコーダ、オカリナなどの笛は、吹いているうちに息に含まれる水分が結露して、吹口に詰まります。音色が汚くなったり、最悪、鳴らなくなったりします。寒い冬は顕著で、一曲ぜんぶ吹きつづけていられないほどです。吹口が詰まるたびにブシッと強く吹いて、頻繁に水滴を吹きとばすことになります。

以前からオカリナ演奏家の間で知られているトリビアがありまして、吹口の中に眼鏡の曇りどめを吹きつけると、水滴が溜まらなくなり長く快適に演奏できるようになるそうな。口でくわえるところに曇りどめをスプレーして健康に問題ないのか、という議論はありますが。インディアンフルートの場合、水滴が詰まるのはバードと本体が接している箇所ですから、まったく関係ありません。

今回は演奏の直前に、バードと本体の隙間に曇りどめをスプレーして録音に臨みました。効果は抜群、一度も演奏を中断することなく順調に録音を終えることができました。

ドレミ音階のインディアンフルート

今回演奏したのはドレミ音階のインディアンフルートです。指穴が7つあります。ふつうのインディアンフルートでこの曲を演奏できるかどうかは不明です。音域は足りているようですが……運指が地獄かも。

もともとインディアンフルートは癖のない優しい音色です。西洋のドレミ音階にしてしまうともう、ほんとうにただの笛です。運指も英国のホイッスルと同じになりますしね。なので私は、ついついこれをホイッスルかなにかのように演奏してしまいがちです。

インディアンフルートを吹くからには「なるほどインディアンフルートだ」という演奏をしたいものです。エンヤの無国籍ミュージックを演奏していても、それでもなおインディアンフルートらしさを感じられるような演奏をしたいです。カルロス・ナカイやメアリ・ヤングブラッドなど、西洋クラシックを修めたインディアンフルート演奏家たちを改めて尊敬したのでした。

マルチバンドコンプレッサってすごい

演奏している環境にもよるのでしょうが。うちで録音した笛の音は、そのままではとても聞けた物ではありません。もわもわしてよく聞きとれないくせに、特定の音を吹いたときだけキーンという倍音が耳に刺さったりします。

耳に障る特定の周波数の音を小さくするには、ふつうはイコライザを使用しますが。今回ようなケースの場合、イコライザで倍音を小さくすると、笛の音はほんとうにもわんもわんになってしまいます。倍音は笛の音を鮮やかに聞かせるために必要です。倍音は聞こえなければなりません、ふだんは聞こえていて構いません。ただ、ときどき耳が痛くなるほど不用意に大きくなるのが問題なのです。

このような「特定の周波数の音が”ときどき”耳に障る」という症状には、マルチバンドコンプレッサが有効です。

私は今回、笛の倍音をコントロールするつもりで本気でマルチバンドコンプレッサを使ってみました。結果は満足しています。鮮明でそれでいて耳に優しい音色になりました。

マルチバンドコンプレッサは、今後もオカリナなど他の笛でも試してみます。まあ……なんだ、いつも「今回の音は今までとは違う!」って言ってる気がしますけどね。

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