-- 試聴サンプル、楽譜 --

クロノクロスOP - 時の傷痕

TVゲーム『CHRONO CROSS』のオープニング『時の傷痕』を演奏しました。

曲と作品について

『時の傷痕』はゲーム・ミュージックの中でも歴代名曲の一つに数えられています。
友人からリクエストを受けていたのですが、完成するのにほとんど2年かかりました。なんというか、いくら聴いても原曲以外のアレンジが想像できなかったのです。トルコの太鼓ダラブッカがなかなか効果的に用いられていたりして、そういうのにも引きずられて迷い続けました。

今回「いける!」と判断して、ついに完成させた次第です。
2年前よりも私のパソコン音楽の知識とスキルは高くなりましたし、新しい楽器も手に入れましたし、強力なソフトウェアシンセサイザやエフェクタも集めました。そんな今だから、完成させることができたのだと考えています。

楽器について

演奏したインディアンフルートはふつうではありません。
ドレミフルートという、西洋音階ドレミファソラシドのインディアンフルートです。こうなってしまうともう、単なる木製のホイッスルなのですが。ふつうに曲を演奏できる★1 ので、このような宣伝動画を製作するのに重宝します。あるいはプロのインディアンフルート奏者も、ドレミフルートは重宝するでしょう。いくら即興演奏が真骨頂のインディアンフルートとはいえ、お客さんの期待を無視して延々と即興演奏ばかりするわけにもいきますまい。みんなが知っている映画音楽などをメドレーすれば、少しはお客さんの反応も違うはずです。

演奏したバグパイプもふつうではありません。
エレクトリック・バグパイプ、電子バグパイプという、バグパイプの形をしたシンセサイザです。スイッチオンですぐにコンサートピッチで演奏できるので重宝します。今回はMIDIケーブルでパソコンに繋いで、ソフトウェアシンセサイザを鳴らしました。3mの長さのケーブルしかなかったので、机のそばに張り付いて演奏するはめになりました。ちょっと5mケーブルを買わんといかん。

インディアンフルートの音域が足りない……

伴奏が出来上がって楽器演奏を練習する段になって、インディアンフルートの音域が足りないことに気がつきました。曲の後半に鳴らせない低い音が出てきます。それは例えばビルの設計図面を引いた後で敷地面積が足りないことに気づいたような、根本的ミスです。

仕方ないので、後半はバグパイプをメインを演奏するように変更しました。元々はこの作品はインディアンフルートをメインに考えていて、バグパイプは後半にちょっと出てくるだけ、みないな扱いだったのですが。半々て感じになりました。どうでしょうか。作品としてはかえって面白くなったかもしれません。

マスタバスに差すイコライザ

マスタバスに差すイコライザは、音楽作品の内容に関係なく、全体的な雰囲気を大きく決定します。一般的な話として生楽器演奏の録音にしろシンセの音にしろ、そのままの音だと、もわっとした生ぬるい、いかにも素人っぽい音です。マスタバスにイコライザを差して、多少なりとも低音域を下げ高音域を上げてやるのがふつうです。

私は今回はマルチバンドコンプレッサを使いました。
マルチバンドコンプレッサは、まずは単なるイコライザとして使います。慎重に低音域を下げ高音域を上げて、それで一発でいい感じになればラッキー。もうなにもする必要はありません。

そうではなくて全体としてはOKなのだが、曲の一カ所だけ高音がキンキンする、低音がモコモコするというときに、コンプレス機能を使います。スレッショルドを下げていって、高音がキンキンしたり低音がモコモコするのを抑えます。

今回は、後半の激しいパートで低音が聞くに堪えないほどモコモコしたので、大きくスレッショルドを下げて低音を抑えました★2 。一般に強くコンプレスするほどモコモコするという話ですから、今回やった調整は今後も定番として使えそうです。

★1 ふつうに曲を演奏できる
素人が息を吹き込んでも素晴らしい音色で鳴ってくれる、適当に指を動かしても曲っぽく聞こえてくれるという、まるで魔法みたいなインディアンフルートですが。唯一最大の短所?として、ふつうの曲が吹けません。(吹ける曲でも、ふつうの笛よりも苦労するのが常です。)

最近、街の楽器店でもインディアンフルートを店頭販売するようになりましたが。ご多分に漏れず、おいしい話ばかりをお客さんに売り込んでいるようで。「こういう用途には不向きですよ」ということも、隠さずきちんと説明するべきだと思うのですが。あるいは良いも悪いも分からずに、ただ珍しい新商品として売ってるのかもですが……

★2 スレッショルドを下げて低音を抑えた
ここで誤ってイコライザのゲインを操作して低音を小さくすると、今度は曲の前半が低音の足りないギスギスした音になりますよ。前半については完璧に聞こえるようにイコライザを調整していたのですから、そこから少しでもイコライザを弄れば、音がおかしくなるのは当然です。

マルチバンドコンプレッサのコンプレス機能はこのような、あっちを立てたらこっちが立たない、全体としてOKだが一カ所だけおかしい、という状況で使います。

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