-- 装飾音とビブラート --

装飾音 1

覚えておいて絶対損しない技を一つだけ。
一番上の指穴を一瞬開けてふさぐ装飾音です。
» 一番上の指穴の装飾音

これはできるだけ素速くやるのがコツです。

例えば、高速道路を疾走する自動車の窓から頭を出して練習しているところをイメージしてください。一番上の指穴を押さえている左手人差指には万札がはさまっています。ゆっくり指穴を開け閉めすると万札は飛んでいってしまいますよ。万札を飛ばさないように、一瞬です。

演奏しているのを見ると、指穴を開け閉めしているというより、左手人差指が一瞬びくっとなるように見えます。

装飾音 2

インディアンフルートのCDを聴いていると強烈な装飾音を耳にすることがあります。これは、単に指穴をぱたぱたと開け閉めするだけではここまで強い装飾音になりません。
» ブライアン・アキパのFirst Flute Songから

強い装飾音は、指穴をぱたぱた開け閉めするのと同時に「ツツツツっ」と舌を動かして息をぶつ切りにして作りだします。指と舌の相乗効果で強い装飾音になります。
» 最初に指だけ、次に舌だけ、最後に指と舌で

※ 上のサンプルのブライアン・アキパは指と舌の装飾音に加えて、音が割れるほど息を強く吹きこんだり揺さぶるようなビブラートをかけたりして、野性的な激しい演奏になっています。
私は彼の演奏からいろいろ学びました。
» ブライアン・アキパのCDについて

装飾音 3

装飾音をどこで使えばいいのか?
いろいろなインディアンフルートの曲を聴いていると、総じて「こういうところで装飾音を使う」という傾向を感じます。荒っぽい説明をすると、音が下がるところで装飾音を使います。

下の楽譜を見てください。赤丸の付いた音に装飾音を使います。メロディーの流れに沿って音符が上がったり下がったりしていて、音符が下がっていくところに赤丸が付いています。

» 楽譜を見ながらインディアンフルートを吹いてみました

メロディーに装飾音が入るとがぜんインディアンフルートっぽくなりますが……赤丸の付いた音ぜんぶに装飾音を使うとさすがにやりすぎな気もします。

プロは実際にどんなふうに装飾音を入れるのでしょうか。お手持ちのCDをなんども聴いてマネする、というのはぜひお勧めの方法です。
私はそうやって学んだことを、こうしていろいろ書いているわけですし。

装飾音 4

装飾音をどこで使えばいいのか?
メロディーの音が下がるところに装飾音を入れると説明しましたが、それと音を長くのばすとき途中に装飾音を入れます。「なんだか間が持たないなー」みたいな感じに不規則に装飾音を入れます。これはよく使います。下の楽譜の赤線のところが音を長くのばすところで入れる装飾音です。

» 楽譜を見ながら吹いてみました

実際、装飾音もビブラートもなしに音をまっすぐのばすのはかなり難しいです。最初は装飾音やビブラートを入れて吹いた方が、かんたんに上手っぽく吹けて楽しいと思います。

楽しく吹いているうち「ここの音はすぅーっとまっすぐにのばしたいな」と切実に思えてきたら、そこで練習すればいいと思います。

装飾音 5

今まで一番上の指穴を使った装飾音について説明してきました。
ここでは音の最後に入れる装飾音を説明します。
ぴぃーーーーョッという感じに、音の最後を跳ねあげます。
» 音の最後に入れる装飾音

音の最後に入れる装飾音はこんなふうにします。

  1. 音の最後で舌を前歯にピタっと押しあててぴぃーーーーッと音を止める
  2. そのタイミングに合わせてぜんぶの指をぱっと開く

これはインディアンフルートに特徴的な装飾音です。入れるとがぜんインディアンフルートっぽく聞こえますから、積極的に使っていきたい。最初はやりすぎるくらいやるのがいいです。

反射的にできるようになってから「メロディーのどこで使うと効果的だろう?」なんて上等なことを考えるといいです。

ビブラート

ビブラートというのは、笛の音をぴぃー~~~~ときれいにゆらすアレです。インディアンフルートでビブラートをすると装飾音と相まって、なんとも泣ける音になります。

とりあえず、インディアンフルートをぴぃーと吹きながらふふふと笑うとビブラートがかかります。いろいろやってみましょう。深くかけたり浅くかけたり、速くしたり、ゆっくりしたり。最初はビブラートをかけずにまっすぐ音を出して、途中からビブラートをかけるなんてことをよくやります。

» いろいろビブラートをやってみる

最初は腹筋が気持ち悪いですが慣れの問題です。そのうち勝手にビブラートがかかる体質になります。

ビブラートのほうがかんたん

実は、ビブラートをかけずにまっすぐ音をのばす方がはるかに難しいです。手っ取り早く上手っぽく吹けるようになりたい人にこそ、ビブラートをお勧めします。